【書評】『友だち幻想~人と人のつながりを考える/菅野仁』対人関係で悩んでいる全日本人に読んで欲しい一冊。

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本当の友だちって何ですか?

こんにちはaoiです。今回は菅野仁氏の『友だち幻想~人と人のつながりを考える』について内容を紹介していこうとおもいます。

本書は2008年にちくまプリマー新書から出された本で、おもに『友だち』のことで悩んでいる高校生に向けて書かれた内容になっています。

なんだ子ども向けの本かとおもったかも知れませんが、いざ読んでみると対人関係における本質が書かれており、非常に勉強になる良書でした。

おそらく職場の人間関係で悩んでいる大人は多いはずです。というか、悩んでない人なんているのかな?なので高校生だけではなく、職場の人間関係で悩んでいる大人にもぜひ読んで欲しいとおもい、紹介する事としました。


本書の目的

著者曰く、

この本は、身近な人たちとのつながりを見つめなおし、現代社会に求められている「親しさ」とはどのようなものであるかをとらえ直すための「見取り図」を描こうとしたものです

※本書14~15ページ目から引用

友だち幻想とは?

ある調査によると、日本の高校生は外国の高校生に比べて「友人重視指向」の傾向が高いことが分かっています。

一方で、現実には友人関係で悩む人や、いじめは絶えません。日本の若者は人と人とのつながりを重視していると同時に、人とのつながりをどのように築き上げればよいかという問題に悩んでいます。友だちが大切、でも友だちとの関係を重苦しく感じてしまう。

こうした問題を解決するには、「人と人とのつながり」の常識を根本から考え直す必要がある。するとこれまで描いてきた「友だち像」とは異なったものが見えてくるのではないか。

そういった考えから、本書のタイトルを「友だち幻想」と名付けたそうです。


 本書のポイント

本書で主張しているもので、私が特に大事だと感じたポイントは3つあります。

1.自分以外は全て他者であると認識する
2.併存性という考えを持つ
3.大人になるということ

それぞれ解説をしていきます。


1.自分以外は全て他者であると認識する

ここでいう他者とは、自分以外の全ての人間のことを指しており、自分とは違う考え方や感じ方をする他の人間と定義しています。


他者なので自分の考えが100%理解されることはありませんし、相手のことを100%理解することも出来ません。

この考え方を持つことが、とても重要。

他者であることを認識することで、他者の異質性ー自分とは違うこと を理解できるようになります。すると相手への過度な期待や思い込みといったバイアスがなくなり、対人関係疲れも低減されます。


「こんなに相手のことを思っているのに、全然分かってくれない!」

「どうしてこんなことをするのか、信じられないよ!」


こんな風に考えることは無くなります。


では、他者と認識を持てた次にやることは何でしょうか。



2.併存性という考えを持つ

自分以外の全ての人間は他者であると認識出来た次にやることは、併存性という考えを持つことです。

この併存性とは、相手と上手に付き合うことを目指すのではなく、うまくやり過ごすことを目標とした発想です。

他者は自分とは違う、だから理解できるとは分からない、仲良くなることより無難にやり過ごすテクニックを身に付けよう、という訳ですね。

ここで無理に仲良くしようとするのは、話せばきっと分かるとか、誰とでも友だちになれるとか、そういった幻想を見ているからです。


他者だから、無理なもんは無理。
幻想からさめて無難にやり過ごすほうが賢明です。

でも、このまま割り切ってしまうと何だか残念ですよね。全て諦めてしまっているような感じがします。


そこで著者は大人になるということについて説明しつつ、次のように述べています。



3.大人になるということ

大人になるということは、大きく分けると「経済的自立」、「精神的自立」の2つに分けることができるとおもいます。さらに著者は「精神的自立」は3つの構成要素から成り立っていると述べています。

それは

1.自己の欲求のコントロール

2.自己の行いに対する責任の意識

3.人間関係の引き受け方の成熟度

この3つです。


この中で著者が特に重要だと考えているのが3.人間関係の引き受け方の成熟度についてです。


それは、ある役割を与えられた中で、それなりにしっかりとした態度をとり、他者と折り合いをつけながら、つながりを作っていけることです。


自分と他者を分けて考えることで、
友だち幻想はなくなるかもしれません。

ですがそれは終わりではなく、始まりです。そこからお互いに理解を深めてゆき、人間関係を構築していくべきだと著者は述べています。


他者だから分かり合えないと切り捨てると、組織は成り立つことができません。

かといって、仲良くすることもできない。だったら、大人として最低限の付き合いをしていくべき。それが大人になるということではないでしょうか。


関連記事:【書評】『おとなになる本』を読んでみたらドキッとした。大人でいることに疲れた人に読んで欲しい。

おわりに

今回は特に大事そうなポイントに絞って説明をしましたが、本書にはまだまだ対人関係における本質的な内容が沢山書かれてあります。

興味がある方は、読みやすいのでぜひ読んでみて下さい。

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